第3回

一流をみる「四君子苑」

お陰様で、社員研修旅行の暇がありません。しかし、ここは京都。周りには見るべき建築がたくさんあります。その中でも、スタッフが未訪問の「四君子苑」に行ってきました。

「四君子苑」

数寄屋造りの建物は、京数寄屋の名棟梁と謳われた北村捨次郎の晩年の作品 (昭和19年完成)

母屋は近代数寄屋建築の泰斗・吉田五十八により近代数寄屋建築に建替えられた (昭和38年)

庭との繋がり、こだわりの納まり(※)は本当に見事でした。

※納まりとは、各構造部材や部材の接合の仕方で、仕上がりに大きく影響する。

以下、撮影禁止以前に訪れた方の写真が載っています。

https://kyotomoide.exblog.jp/15307352/

MEMO [1]

母屋

数寄屋部分も見事でしたが、私達が時間をかけて見ていたのは母屋です。こちらは吉田五十八により昭和38年に建て替えられています。戦時中ですよ。

和風の玄関部分から居間や和室に入ると、明るさに驚きます。庭と面している部分はほぼ窓です。それも高さが、和室では天井まで、居間も2.5Mは越えている。昭和38年ですよ。居間に至ってはコーナーに柱もサッシ枠も無いので、開ければ270度の庭が楽しめます。庭にいるかのような感覚です。そして、窓の上部には御簾のように金属のルーバーが付いています。和と洋がとても上手く共存しています。

MEMO [2]

納まり

ここでは、御所の迎賓館などにはない日常をそこかしこに感じます。一段下がった居間は、和室に座る人と椅子に座る人との目線高を同じにするため。和室は天井の大きな埋込照明で明るく。壁裏に置かれ上げ下げ障子窓で仕切れる仏壇。

私達が感動したのが、和室の上の間・下の間の仕切り建具(襖)の納まり。

まずは仕切り鴨居の溝は二重天井の目地スリットと同じにしてあり、存在が全くない!

また、建具(襖3枚)は引込式になっており、普通の柱と見せかけた四分円の柱を回転して開き、その奥に収納できるのです。

見事でした。

MEMO [3]

数寄屋造り

■数寄屋造り

母屋とは別の小規模な茶室。安土桃山時代、侘び茶の意識同様、権力を目に見える形で表現する書院造りから豪華な装飾を取り除いた、質素で洗練された意匠。庭の自然など借景を楽しむ間取り。(江戸時代からは高価な建材技術も取り入れられた)

■数寄屋造りの特徴(形式はないがポイント)

  • 建材として、天井に竹や杉皮を天井にあしらう、壁は土壁(左官壁)にするなど自然素材を取り入れる。さらに竹であれば節を活かしたり、木も面皮柱や磨き丸太にしたり、材のの経年変化を楽しむなど、素材の良さをそのまま活かしている。
  • シンプルな意匠。例えば、床の間の段差をなくしたり、長押の省略。
  • 反対に趣向を凝らした棚(霞棚など)や建具(源氏襖や唐襖)が誕生。

■現代和風建築へ

直線的な外観やシンプルな内装デザイン。しっくいや珪藻土、板張りなど自然素材を取り入れた外壁や内装。庭や借景を考慮した間取りなど、引き継がれているところは多い。

鴨居部分の天井スリットですが、3本の方が良いと思うのですが・・・。

おお。確かに。
柱や敷居の太さとの関係かな。他の天井目地が2本というのにも関係があるかもしれない。

日本人には奇数のほうがしっくりきますよね。
生花も奇数本であったり。

そうだね。
東洋で奇数は陽や善として、割り切れず縁起良く、また発展性のあるものとして好まれるね。
一方、西洋では奇数は半端な数であり、偶数やシンメトリーの安定感が好まれるよね。
この4本は洋を取り入れる意図もあったのかもしれないね。

一邸一樹「シンボルツリー」

Presented by 蘇理裕司

「世界平和」と(蘇理が)謳っている会社としては、生活に緑は不可欠。住まい設計工房の強み「借景」にプラスして、「一邸一樹」運動をしようと思う。

シンボルツリーで思いつく樹は?
ハナミズキ
イロハモミジ
キンモクセイ
ヤマボウシ
ミモザ
ドウダンツツジ
オリーブ
ソテツ
スモークツリー
モミノキ
ブルーベリー
ジューンベリー
レモン
・・・・・・・・・
常緑樹と落葉樹
常用樹は、葉が落ちず目隠しになり、冬でも庭に色を添えてくれる。
落葉樹は、夏は強い日差しを遮り、冬は葉を落とし室内に陽を届ける。紅葉する種類も多く楽しめる。
植える場所によって役割に合ったものを選ぼう。
狭小地が多い京都に相応しい樹
多いのは下の2種。低樹で大きめの植木鉢に植える事も可能。京都の飲食店では、季節毎に花がついた鉢に替えるところもちらほら見かける。
「ナンテン」
難を転ずる縁起物。実や紅葉を楽しめる。
「アジサイ」
日陰でも育つ。種類も多く梅雨の時季の花は爽やか。
具体的に担当の住まいで考えてみよう
お子さんのいる家 収穫を楽しめる実のなる樹
忙しいご夫婦 手入れのしやすい常緑樹や低樹
リゾート風でくつろぐ家 南国の雰囲気の樹
ハンドメイドが好きな家族 リースにしたら映える樹
実家を建替えの家族 昔から生えていた思い出の樹
・・・・・・

結論

樹の種類は無限。一邸一邸に合った樹を。